ご無沙汰しております、自宅で立体パズルを楽しんでいる小田です。
未開封段ボールを1つあけるたび、残った段ボールを最適な配置に並べかえるのが最近の日課です。
これが本当の算数力。
ちなみに、ひとつのことに集中してがーっと片づけてしまうのがとても苦手なタイプです。
さて。
そんなこんなで先日、ディスカヴァー21さんのイベント、「大人のための算数教室」にこっそりもぐってきました。
私の新刊のタイトルと同名のイベントですが、かぶってしまったのはたまたまの偶然です。
講演されたのは、鍵本聡さんと、板橋悟さんのお二方。
イベントの内容については、こちらでご紹介されているとおりです。
→ 『ディスカヴァー社長室ブログ:大人の算数は一味ちがう!大人のための算数教室イベントレポート!』
お二方とも、「なるほど!」と思うことあり、「そうそうそれそれ!」と思うこともあり、とても勉強になる講演内容でした。
私もあれくらいいいこと喋れるようになりたいなー、と思ったのでした。
で。
お二方にはご著書にサインもいただいてしまったので、ミーハーな私はここでそれぞれのご著書を宣伝しておきたいと思います!
まずは鍵本さんのご著書。
『算数ができる子を育てる』
内容を一言で言うと、「算数ができるようになりたければ、とにかくメモを取る。ただし、計算は頭の中でやる」です。
実は、算数ができるかできないかは、問題用紙や計算用紙への書き込みを見れば一発で分かる(というくらい“できる子”と“できない子”ではメモの内容が全然違う)んですが、この本ではそれが“どう違うのか”を具体的に見せてくれます。
実際に“できる子”の答案も載っているので、こちらもとても参考になります。
単に、「図を描け」や「ちゃんと書け」と言うだけでは、なかなか“できる”ようにはなりません。
そして板橋さんのご著書。
『なぜ分数の割り算はひっくり返すのか?―数学ギライも図に描けばすぐ理解できる』
こちらの内容を一言で言うと、「分からない概念は、図に描いて考える。あと、日常生活の場面で似たようなものを探し出す」です。
板橋さんは、「ピクト図解」の考案者でもあるので、こちらの本でも「図を描く」ということの重要性を強調されています。
この本の最大の特徴は、やはり“身近な話題”をふんだんに盛り込んでいることだと思います。
前半部分は、誰もが一度は考えたことのある「分数の割り算はなぜひっくり返してかけるのか」や「マイナスかけるマイナスはなぜプラスになるのか」などの疑問に答えていきます。
後半は、因数分解や集合論など、さまざまな算数・数学の考え方と日常生活の関わりについての解説です。
算数・数学の内容としては簡単ですが、やはり生活に密着したトピックである、というのと、数式や計算についての解説ではなく、モノの考え方についての解説なので、「算数・数学とか、全然理解できません! っていうか数式とか見るのがそもそも嫌です!」っていう人にはおススメではないでしょうか。
(特に女性におススメ、というのはご本人の談です。)
お二方の著書と、そして講演内容にも共通するのは、分からなかったら実際に手を動かしていろいろと書いてみなさい、ということ。
これはまったくをもってその通りで、私も事あるごとに主張しているのですが、やっぱり“手を動かす速さは頭の回転速度に比例する”んですよ。
手が止まっているときは、端的に言ってしまえば、頭も止まっています。
いやいや考えてるよ、と主張したい気持ちも分かりますが、考えている内容を精査すると、結局同じところをぐるぐる回っているだけで全然先には進んでない、なんてことはありませんか。
あと、「できる子とできない子では問題用紙への書き込みが違う」なんてことを言うと、“綺麗に”だとか“丁寧に”書かなければいけないんだ!なんてことを思う人もいますが、それもよくある勘違いです。
特に男の子をもつお母様から、うちの子こんなに問題用紙ぐちゃぐちゃで……みたいなご相談を受けますが、綺麗に・丁寧に書こうとしてスピードを落とすと、頭の回転速度は落ちます。
綺麗に・丁寧に書くべきなのは、答案用紙の解答欄だけでいいのです。
算数のできる人ってなぜか、「難しい問題でも、何も書かずに頭の中で“ぴろりん”と解いてしまう」みたいなイメージを持たれているのですが、そんなことは全くなくて。
もちろん、傍から見てるとそういうふうに見えるときがあるのも否定しませんが、それは彼らにとっては“簡単な問題”だからです。
普通の人が馴染みのない問題でも、彼らにとっては見慣れた問題であることは多いので、そういう問題は頭の中に“普段から書き慣れている図”が思い浮かび、頭の中でできてしまうように見えるのです。
彼らにとっても“難しい問題”を解くときは、ものすごい勢いで計算用紙に図なり絵なり式なりを書いていきますよ。
あと、特に男の子にありがちな勘違いとして、「何も書かずに頭の中だけで解けてしまうのがカッコイイ!」というのもありますが、そういう子には、難しい問題を解けることそのものがカッコいいのであって、いっぱいすごいスピードでガリガリ書いていって解いてしまう、っていうのもそれはそれなりにカッコいいんだよ、って教えてあげてください。