「算数」と「数学」をつなぎたい。

ご無沙汰しております、ブログをサボっている間にいろいろあった小田です。わりとビッグなイベントとしては、何度か海を越え、中国へと出張したりもしていました。向こうの小学校の先生方の研修のためです。恥ずかしながら海外渡航経験が実質ゼロみたいなものだったので、初回はもうビビりまくりで行ってきました。数学の勉強も大事ですが、中国語とは言わずとも、せめて英語くらいはまともに勉強しておいたほうがいいですね。特に発音。

さて、そんなこんなで来週19日、日本実業出版社さんから、新刊『本当はすごい小学算数』が出ます!
これもいろいろあったうちの一つというか、思い返せば6月7月くらいはずっとこの本にかかりきりだったような気もします。
今回は相当な難産で、本のイメージが固まるまでにずいぶん時間がかかり、イメージが固まってからも具体的な文章に落とし込むまで時間がかかり、文章を一通り仕上げてからも形を整えるのに時間がかかり、形が整ってからも出版できる形にするまでずいぶん時間がかかりました。
その間、様々な方面にいろいろとご迷惑はおかけしたのですが、そのぶん、私の伝えたかったこととじっくり向き合い、明確で具体的な”形”にすることができたのではないかと思います。

思い返せば、最初に日本実業出版社さんから出させたいただいた『できる子供は知っている 本当の算数力』も、当時の自分がそれまでやってきたことの集大成であり、それと同時にその後の仕事の基盤となる1冊だったのですが、今回の本もそれと似たような役割を果たしてくれるのではないか、と予感しています。

本の内容としては、平たく言うと、「中学入試の算数の問題を通して“数学”のイメージをつかむ本」です。
本書のあとがきにも書きましたが、「中学入試の算数」と「中学以降の数学」は別のものだ、と思っている人も多いでしょう。
しかし、実際にその「中学入試」を”上手く”くぐり抜けた人たちを見ていると、どうも彼らにとってそれらは「同じもの」に見えている気がするのです。
だからこそ、彼らは鍛えた「算数力」の上に「数学力」積み増しし、“数学”も得意にしていっているのではないか、と。

そういう視点で中学入試の問題を分析していくと、そこには、“数学”の本質がちりばめられています。
そしてさらに、それらが“子供にも飲み込みやすいように”、上手くアレンジされています。
そのちりばめられた”数学の本質”を具体的に紹介することで、中学受験をする人たちだけでなく、数学を学ぶすべての人の役に立てればいいな、と思って書いたのが、今回の本です。

今回の本は、数学が苦手だった人、これから数学を勉強する人、中学入試の問題に興味のある人、子供に中学受験をさせようと考えている人、中学入試の問題は方程式で解けばいいと思っている人、中学入試では方程式を使ってはいけないと思っている人、算数・数学教育(特に小中学生)に携わる人、その他、すべての数学に興味のある方にぜひ読んでいただきたいと思っています。


夏休み特別日程のご案内(2015・夏 7月21日~8月26日)

数理学習研究所、個別指導は、夏休み期間中下記の日程で行います。
夏休み中のみのご参加も大歓迎です。

7/20 7/21
9:00~12:00
13:00~19:00
7/22
9:00~13:00
7/23
9:00~12:00
13:00~19:00
7/24
9:00~12:00
13:00~19:00
7/27
9:00~14:00
7/28
9:00~12:00
13:00~19:00
7/29
9:00~13:00
7/30
9:00~12:00
13:00~19:00
7/31
9:00~12:00
13:00~19:00
8/3
9:00~12:00
13:00~19:00
8/4
9:00~12:00
13:00~19:00
8/5
9:00~13:00
8/6
9:00~12:00
13:00~19:00
8/7
9:00~12:00
13:00~19:00
8/10
9:00~12:00
13:00~19:00
8/11
9:00~12:00
13:00~19:00
8/12 8/13 8/14
8/17
9:00~14:00
8/18
9:00~14:00
8/19
9:00~14:00
8/20
9:00~14:00
8/21
9:00~14:00
8/24
9:00~14:00
8/25
9:00~14:00
8/26
9:00~14:00
8/27 8/28

※ 9月1日以降は通常通りの日程で行います。(通常日程のご案内

§ 形式
個別指導(同時に最大で3名まで)

§ 料金
入会費・年会費:なし

 小学5年生まで 2500円/時
 小学6年生・中学生 3000円/時
 高校生 3500円/時
 その他 5000円/時

(それぞれ、税別です。また、教材費は市販のものを使う場合、実費を徴収させていただきます。)

§ アクセス
豊島区南池袋2-47-6 パレス南池袋603

・池袋駅(JR,丸ノ内線,有楽町線,副都心線)からお越しの場合:徒歩8分
1) JR池袋駅東口、または、地下通路35番、または、43番出口を出る
2) 池袋駅を背に、大通りを直進(右側に交番がある大きな道です。少し行くと大きな交差点(東口五差路)がありますが、そこもそのまま直進します。)
3) ガソリンスタンド「ENEOS」の手前の道(「東池袋」の交差点)を右折
4) 道の左側、「パレス南池袋」と書かれた建物の、6階603号室です。(お寿司屋さんの隣、セブン-イレブンの斜向かいにある、グレーの建物です。1Fに、音楽スクールや歯科医院が入っています。)

・東池袋駅(有楽町線)からお越しの場合:徒歩4分
1) 2番出口をでて地上に
2) 目の前の大きな通りがあるので、横断歩道を渡り、右へ。
3) ガソリンスタンド「ENEOS」があるので、その奥の道を左折。
4) 以下、上記と同じです。

その他、雑司が谷駅(副都心線)からもお越しいただけます(徒歩10分)

§ お問合せ
toshihiro_oda@kurotake.net 宛にご連絡ください。
その際、どういった指導内容をご希望か、ご説明いただけるとありがたいです。


必ず実力がつく算数・数学の問題演習のやり方。

塾生用に作ってみたものですが、せっかくなのでブログにもアップすることにしました。

実際にいろんな子を見ていると、”問題演習”がまともにできている子がほとんどいないことに気づきます。

せっかくたくさん勉強しても(勉強したつもりでも)、やり方が間違っていたら何も身につきません。
頑張っても(頑張ったつもりでも)力がつかなかったら、算数・数学が嫌いになってしまいます。

やる気はあるのに、やり方が間違っているせいで伸びない、という子を見るのは、私もつらいです。
ぜひこれを役立てて、「実りのある問題演習」をしてください。

PDF版はこちらから

きちんとやろうとすると、もちろんそんなに楽でもありませんが、その苦労はちゃんと成果の出る苦労です。
頑張ってください。


春休み特別日程のご案内(2015・春 3月23日~4月10日)

数理学習研究所、個別指導は、春休み期間中下記の日程で行います。
春休み中のみのご参加も大歓迎です。

3/23
9:00~12:00
3/24
9:00~12:00
13:00~19:00
3/25
9:00~13:00
3/26
9:00~12:00
13:00~19:00
3/27
9:00~12:00
13:00~19:00
3/30
9:00~12:00
13:00~19:00
3/31
9:00~12:00
13:00~19:00
4/1
9:00~13:00
4/2
9:00~12:00
13:00~19:00
4/3
9:00~12:00
13:00~19:00
4/6
9:00~12:00
4/7
9:00~12:00
13:00~19:00
4/8
9:00~13:00
4/9
9:00~12:00
13:00~19:00
4/10
9:00~12:00
13:00~19:00

※ その他、3月29日(日)および4月5日(日)は通常通り14:00~19:00の時間帯で承ります。

※ 4月12日以降は通常通りの日程で行います。(通常日程のご案内

§ 形式
個別指導(同時に最大で3名まで)

§ 料金
入会費・年会費:なし

 小学5年生まで 2500円/時
 小学6年生・中学生 3000円/時
 高校生 3500円/時
 その他 5000円/時

(それぞれ、税別です。また、教材費は市販のものを使う場合、実費を徴収させていただきます。)

§ アクセス
豊島区南池袋2-47-6 パレス南池袋603

・池袋駅(JR,丸ノ内線,有楽町線,副都心線)からお越しの場合:徒歩8分
1) JR池袋駅東口、または、地下通路35番、または、43番出口を出る
2) 池袋駅を背に、大通りを直進(右側に交番がある大きな道です。少し行くと大きな交差点(東口五差路)がありますが、そこもそのまま直進します。)
3) ガソリンスタンド「ENEOS」の手前の道(「東池袋」の交差点)を右折
4) 道の左側、「パレス南池袋」と書かれた建物の、6階603号室です。(お寿司屋さんの隣、セブン-イレブンの斜向かいにある、グレーの建物です。1Fに、音楽スクールや歯科医院が入っています。)

・東池袋駅(有楽町線)からお越しの場合:徒歩4分
1) 2番出口をでて地上に
2) 目の前の大きな通りがあるので、横断歩道を渡り、右へ。
3) ガソリンスタンド「ENEOS」があるので、その奥の道を左折。
4) 以下、上記と同じです。

その他、雑司が谷駅(副都心線)からもお越しいただけます(徒歩10分)

§ お問合せ
toshihiro_oda@kurotake.net 宛にご連絡ください。
その際、どういった指導内容をご希望か、ご説明いただけるとありがたいです。


受験シーズン突入。

ご無沙汰しております、あけましておめでとうございます。新年早々メガネのつるが折れた小田です。
大事なメガネなので、それなりに丁重に扱っていたつもりだったのですが、根元からぽきっといってしました。ぽきっとな。

さて、そんなこんなで2015年になりました。
年も明け、ついに今年も入試の季節がやってきました。
今年教えているのは中学受験の子ばかりで、早い子だと昨日から実際に試験が始まっています。そしてメインとなるのは2月の第1週。もう1ヶ月もありません。ラストスパートの時期ですね。

毎年この時期になると、自分が中学受験生だった頃を思い出します。ずいぶんと昔の話なので、あまり覚えていることも多いわけではないのですが、塾の先生の言葉の中でひとつ、とても印象に残っているものがあります。
私の通っていた塾では、入試当日の朝、その学校のグラウンドの空いているところで集まって、“最後の授業”をやっていました。そして、その最後に先生がおっしゃった言葉です。
「君たちには、盆も正月もなかったやろが!」、と。
言われてみて、それまでの一年間を振り返ってみると、確かにお盆休みもお正月も、塾で勉強していました。
小学生最後の夏休みも冬休みも、毎日塾に通っていました。
もちろん、そこまでやることに賛否両論あると思います。しかし、当の本人たちにしてみれば、そこまでしてでも憧れの学校に行きたかった、というだけの話です。

今、目の前には全力で頑張っている子どもたちがいます。
かつての私と同じように、夏休みも冬休みも、遊びに行くことより、目標に向かって努力することを選んだ子たちです。
私は普段は基本的に、別に受験のためだけに勉強するわけではない、純粋に算数・数学ができるようになるために勉強するんだ、という指導方針ですが、実際に受験生を目の前にすると、やはりみんな合格してほしいですよね。
残された時間はもうわずかですが、最後まで、できる限りの支援をしていきたいと思います。


継続は力なり。

ご無沙汰しております、先日ようやく“ひんやりシーツ”を普通のシーツに取り換えた小田です。
やはりこの時期、布団は温かいほうがいいですよね。温かいと温かいで、朝布団から出られなくなって困ったりもしますけど。

そんなこんなで、昨日をもちまして、萌木の会@用賀で開催していた数理能力錬成コースを終了させていただきました。
2011年の9月に始めたコースですので、ほぼまるまる3年間、ご指導させていただいたということですね。
最初から最後まで通い続けてくれた子も何人かいて、そのうちの1人、小学1年生から来てくれていた子は、いつの間にか問題を解いて「シールをもらうこと」より「問題を解くこと」そのものに関心が向くようになっていました。
そういう成長を見ていると、とても嬉しくなりますよね。その成長はもちろん、私だけの力でなしえたものではなく、むしろ、私が与えられた影響というのはそれほど大きくないと思います。それでも、そういった子供の成長に少しでも関わらせてもらえた、というのは、すごく幸せなことだと思います。

もうひとつ、教室で指導をしているときの“幸せ”というと、子供たちが問題に集中して取り組んでいる瞬間が見られる、というのもありました。
正直なところ、授業時間中ずっと集中できる子、というのは基本的にはいなくて、特に低学年の子供だと、遊んだり騒いだりしている時間ももちろんあります。
しかし一方で、そういった子たちも含めて、教室にいる全員が、自分の目の前にある問題に集中している瞬間、というのも必ずあるのです。
その瞬間はとても美しく、その空間にいられるから、という理由だけでも、こういう仕事をしていてよかったな、と思います。

まだ実績もあまりなかった私に、コース運営の機会を下さり、運営にご協力くださった萌木の会の皆様。大事なお子さんを私に預けてくださった保護者の皆様。そして、私の出す課題に一生懸命取り組んでくれた子供たち。本当にありがとうございました。

さてそういうわけで、12月からは、木曜日も池袋の事務所での個別指導の枠を解放いたします。
また、年末年始には冬休み特別日程として、平日昼間等にも枠を設けますので、よろしくお願いいたします。

 

2014112801


冬休み特別日程のご案内(2014・冬 12月22日~1月9日)

数理学習研究所、個別指導は、冬休み期間中下記の日程で行います。
冬休み中のみのご参加も大歓迎です。

12/22
9:00~12:00
12/23 12/24
9:00~12:00
12/25
9:00~12:00
13:00~19:00
12/26
9:00~12:00
13:00~16:00
12/29 12/30
9:00~12:00
13:00~19:00
12/31
9:00~12:00
1/1 1/2
1/5
9:00~12:00
1/6
9:00~12:00
13:00~19:00
1/7

14:00~19:00

1/8
9:00~12:00
13:00~19:00
1/9

13:00~19:00

※ その他、12月28日(日)および1月4日(日)は通常通り14:00~19:00の時間帯で承ります。

※ 1月11日以降は通常通りの日程で行います。(通常日程のご案内

§ 形式
個別指導(同時に最大で3名まで)

§ 料金
入会費・年会費:なし

 小学5年生まで 2500円/時
 小学6年生・中学生 3000円/時
 高校生 3500円/時
 その他 5000円/時

(それぞれ、税別です。また、教材費は市販のものを使う場合、実費を徴収させていただきます。)

§ アクセス
豊島区南池袋2-47-6 パレス南池袋603

・池袋駅(JR,丸ノ内線,有楽町線,副都心線)からお越しの場合:徒歩8分
1) JR池袋駅東口、または、地下通路35番、または、43番出口を出る
2) 池袋駅を背に、大通りを直進(右側に交番がある大きな道です。少し行くと大きな交差点(東口五差路)がありますが、そこもそのまま直進します。)
3) ガソリンスタンド「ENEOS」の手前の道(「東池袋」の交差点)を右折
4) 道の左側、「パレス南池袋」と書かれた建物の、6階603号室です。(お寿司屋さんの隣、セブン-イレブンの斜向かいにある、グレーの建物です。1Fに、音楽スクールや歯科医院が入っています。)

・東池袋駅(有楽町線)からお越しの場合:徒歩4分
1) 2番出口をでて地上に
2) 目の前の大きな通りがあるので、横断歩道を渡り、右へ。
3) ガソリンスタンド「ENEOS」があるので、その奥の道を左折。
4) 以下、上記と同じです。

その他、雑司が谷駅(副都心線)からもお越しいただけます(徒歩10分)

§ お問合せ
toshihiro_oda@kurotake.net 宛にご連絡ください。
その際、どういった指導内容をご希望か、ご説明いただけるとありがたいです。


答えを出したいのか、正解したいのか。

子供が問題を解いているのを隣で見ていると、“正解する気”がないのではないか、と思うことがよくある。
やる気がない、というわけではない。真面目に取り組んでいない、というわけでもない。
やる気はあって、真面目に取り組んでもいるのに、ただ“正解する気”がない。

例えば、子供が「実力的には解けるはずの問題」を間違えるとき。
解き終わってバツがついてしまってから振り返ってみると、単なる“ミス”に見えることも多い。
そうすると、次から気をつけようね、で終わってしまう。
しかし、解いている様子を隣りでよくよく見ていると、実はその途中、一瞬動きが止まることに気づく。

どこかでミスをしたまま解き進めていると、多くの場合、「何かおかしい」と感じる瞬間がある。
解いている子供の動きが止まる瞬間、というのは、その「自分が“間違えた”ことに気づいた瞬間」である。
本来ならば、その時点で一度立ち止まり、もう一度さかのぼってやり直す必要がある。
だが、多くの子は“気づかなかった”ことにしてそのまま先に進んでしまう。そして、予定調和のごとく“間違った答え”を導き出す。

自分の間違いに気づいたとき、そこでどういう道を選ぶか、というのはなかなか難しい問題である。
それまで解いてきたものを白紙に戻し、もう一度解き直す、というのは、正直なところとても面倒くさい。そしてそれだけでなく、“問題解決”の瞬間が遠退くことになる。
算数・数学の問題を解くとき、脳に大きな負荷がかかる。間違いでも答えを出してしまえば、その負荷からは解放される。
結局そこで起きているのは、「間違えてもいいから答えを出してこの問題から解放されたい」という思いと「解き直すのが面倒でも正解にたどりつきたい」という思いのせめぎあいである。
ここで”正解する気”が弱いと、「そのまま解き進める」道を選んでしまう。

とはいえ、正解する気が弱い、というのが責められるべきことかというと、別にそうは思わない。むしろ、それが普通だと思う。
普通、入学試験のようなテストを除いて、普段の学校のテストや家で問題を解いているとき、“正解”して得られるものはそう多くない。
もちろん、正解すれば嬉しいが、言ってしまえばそれだけである。
一方で、間違って失うものも、実はあまり大きくない。テストで悪い点を取ったりするだけである。または、多少親や先生に怒られるだけである。
いずれにせよ、算数・数学の問題を“正解”するために大きな労力を費やすことは、普通は割に合わない。

だから、それでも“正解”にこだわる子、つまり算数・数学のできる子、というのは、単に「問題を解くのが楽しい」というのではなく、「問題が解けないと死んでしまう」子なのだと思う。
“正解すること”にプライドやアイデンティティ、つまり“命”を懸けている子なのだと思う。
そこまでのものを賭けているから、天秤は“正解を目指す”ほうに傾く。
(思い返せば、自分の周りにはそういう人が多かったし、自分も昔はそうだったような気がするが、一般的に見れば「変な子」なのだろう。)

正解することにこだわりを持てるようになれば、算数・数学ができるようになるまではすぐである。
ただそうは言っても、そういうメンタリティをどうやって育んでいくか、というのはなかなか答えの出ない問題ではあるし、そもそもそんな「普通の子」を「変な子」にしてしまってもいいのか、というのも永遠に解決されない論点ではある。


小学校のころの先生の話。

先日、ちょっとしたきっかけがあって、ふと自分が小学生だった頃の担任の先生のことを思い出した。

私は、小学校のころから勉強はよくできた(自分で言うのもなんですが)。そして、ありがちな話だが、結構生意気だった(これは今もかもしれないけど)。
たぶん、「ちょっと勉強ができるからっていい気になりやがって」と思っていた先生も、まあそれなりにいたのだとは思う。
でも、その先生はそんなことは言わず、むしろいい意味で私を特別扱いしてくれていた(その先生にとっては、きっと一人ひとり“特別扱い”していたんだろうなぁ、と今になって思うが)。

その先生とのエピソードで覚えていることが3つある。

一つ目は、私が“置き勉”していた話。
小学校高学年に入って、教科書などが増えてくると、私はそれを全部学校に置いてきていた。理由は単純に、重たいから。そしてついでに、学校の勉強は別に家でやらないから、というのもあった。
他にも“置き勉”していて注意される子はいたが、私は別にそれをとがめられなかった。宿題は学校にいる間に終わらせていたし、時間割もきちんと前日の帰りに翌日の分を選別してまとめていた。
親との懇談では、「ここまでやるなら、まあいいでしょう」という話になったらしい。

二つ目は、テスト中に教室から出て行った話。これももちろん、「私が」である。
そのテストのときは、最初に先生が「90点以上取れる、と思ったら、そのままテストを提出して外に遊びに行っていいですよ」と言っていた。
それをそのまま受け取っただけ、という話ではあるし、先生も、別に「本当に出て行くと思わなかった」とは思っていなかったと思う。
だから別にその件で叱られた、ということではないが、しかしこの話を覚えている理由は、そのテストの点数が、実は90点ギリギリだったからだ。さっさと終わらせて、颯爽と外に飛び出していったわりに、である。
しかも、少しおまけをしてもらっていた。×でもよさそうなところを、減点ですませてもらっていた。先生も、だいぶ悩んだのかもしれない。
生意気な鼻っ柱をへし折るチャンスでもあっただろうに、先生は私のプライドに配慮する選択をしてくれた。
私がそれを「ラッキー」と思うような性格でなく、「手心を加えてもらっちゃったな」と思う性格だから、というところまで理解してくれていたのだろう。

三つ目は、先生の代わりに授業をした話。
私にとって、学校の授業は知っていることばかりであまり面白くなかった。先生もそれは心配してくれていたのだと思う。
だからなのだろうが、たまに先生は「先生はうまく説明できないから、代わりに小田に解説してもらおうか」みたいなことをおっしゃった。
おだてられて調子に乗った私は、他のクラスメイトに対して一生懸命説明したのを覚えている。それはきっと楽しかったのだと思う。
今でもなんだかんだで人に教えるのが好きで、こういう仕事をしているのは、その先生のおかげかもしれない。

個性を大事にする教育、というのは、結局のところ、引き出しの多さと懐の深さだと思う。
教育現場で昨今重要視されているそれが、なかなかうまくいかないのも、単純に難しいからだと思う。
自分もその先生みたいになれたらいいな、と思うことはあるが、まだまだ先かな、とも思う。


「考えなさい」という呪い。

最近、「考えなきゃ病」にかかっている子供が多いように思う。

難しい問題を見ると、すぐに“考え”出す。しばらくそのまま硬直しているので、大丈夫?と聞くと、「今、考えてる」と言う。そして、さらにもうしばらくそのままにしておくと、最終的には「分からない」と言う。

そういう子にはまず「やってごらん」と言うことにしている。数値をあてはめてみたりとかでもいいから、とにかくやってごらん、と。その子は最初は戸惑いながらも、そして面倒くさそうに、いくつかの数値をあてはめてみたりする。
いくつかあてはめていくうちに、「あっ」と気づき、そのうち答えにたどりつく。

その問題は、その子にとって「解けた」はずの問題なのである。そう、“考えよう”とさえせず、最初から手を動かしていれば。

私はよく、次のようなたとえ話をする。

目の前に、見た目が全く同じ宝箱が3つあります。そのうちの1つには宝が入っていますが、残りは空っぽです。さて、あなたはどうしますか。

たいていの子供は、すぐに「全部あけてみる(全部持って帰る)」と答える。もちろん、それが正解。
たとえ話なら迷わず正解するのに、算数の問題を前にすると、そうはいかない。

宝箱の外見を、注意深く観察し始める。どこかに違いがないか、じっくりと“考え”始める。
もちろん何の情報も得られず、わからない、どうしよう、と諦める。
もしくは、ほんの小さなキズを見つけてきて、「これが正解の宝箱だ!」と決めつける。
(その場であけてみて、空っぽであることを確認する子はまだマシで、ほとんどの子供は、その“正解の宝箱”だけを意気揚々と持ち帰る。そして、家に帰ってから空っぽだということに気づくのだ。)

とても滑稽な話である。しかし、現実的にはそういう子が多い。

実際のところ、算数の問題だと、宝箱の数は100個とか1000個くらいなのかもしれない。それくらいの数だと、“考え”て候補を絞ったほうがいいんじゃないか、と思いたくなる気持ちもよく分かる。
しかし、算数の得意な子は、それでもやっぱりあけていく。片っ端からあけていく。
あけた宝箱の中に、たまにヒントが入っているのを知っているからだ。そうやって入手した手がかりによって、残りの宝箱を絞っていく。まずはやってみて、ヒントを手に入れて、そこで初めてその情報の意味や使い方を“考え”る。

効率的な解き方があるのに、それに気づかず一生懸命試行錯誤している子がいるとする。そういう子を見ていると、もっと“考えれば”楽に解けるのに、と思ってしまう気持ちもわからないでもない。
しかし、「考えれば気づくだろう」と思うのは、大人がすでに知っているからというだけ。そう思っている“大人”のほうだって、知っていなかったらいくら考えてもきっと何も思いつかない。

「考える力が大事」ということは、まあ間違いではないと思う。しかし、「考える」という言葉の意味は、もう少し慎重に受け止めてほしい。安易に子供に「考えなさい」と言ってしまうと、それは非常に強力な呪いにもなりうる。

子供が試行錯誤しているときは、たとえ非効率的に見えても、最後まで温かく見守ってあげてほしい。むしろ、“考えよう”として手が止まっている子がいれば、「やってごらん」と言ってあげてほしい。
解き方を“考え”つく子のほうが算数ができるのでは、というイメージがあるかもしれないが、最終的に「算数の得意な子」になれるのは、自分の手を動かせる子である。